ありがちなサイトリニューアルの失敗例
Webサイトをリニューアルしたばかりの会社から再リニューアルの相談を受けることがよくあります。けっこうな予算をかけてリニューアルしたけど思ったようにならなかった、という内容です。安かろう悪かろうで後悔することはよくありますが、Webサイト制作の場合、何百万円もかけたのに後悔するケースもあります。後悔しないために、まずは失敗例に学びましょう。
Contents
失敗のケーススタディ
- デザインは良くなったが問い合わせが増えない
- 社内外から会社のイメージに合っていないと言われる
- リニューアルして良かったのかわからない
- CMSを入れたはずなのに更新できないページが多い
- 制作会社が運用のサポートをしてくれない
- 制作会社のレスポンスが悪い
- 検索でヒットしない
- 解約できない
- 制作会社がなくなってしまった
デザインは良くなったが成果が上がらない
BtoCのサイトであればWebサイトのデザインは商品のブランディングにも関わるのでとても重要ですが、BtoBのサイトの場合、デザインがいいからといって注文が増えるわけではありません。もちろん、会社の良さ、サービスの良さを知ってもらうためにわかりやすく表現することは大切です。しかし本来の目的を忘れて、見た目に派手でかっこいいデザインを求めすぎると、肝心のことが伝わらない本末転倒が起きてしまいます。
デザインというのはアートとは違い、それだけで評価するものではありません。何か目的があり、その目的のためにデザインがあるのです。まずはその目的が何かを明確にし、そのためにどのようなデザインがふさわしいかを考えなくてはいけません。
間違えやすいのは、サイトの目的とリニューアルの目的とは違うということです。情報が古いから、スマホに対応していないから、来年50周年だから、というのはリニューアルの目的であって、サイトの目的ではありません。
Webサイトの目的
- 新規開拓したい(デマンドセンター)
- 既存顧客に情報を提供したい(カスタマーサクセス)
- 会社のイメージを向上させたい(ブランディング)
- 採用したい(リクルート)
たとえばトップページのメインビジュアルをどうするか考えるときに、目的が違えば表現することも変わってきます。新規開拓であればメインビジュアルに必要なことはどんな仕事をしているどんな会社かを知ってもらうことです。そうなると、キャッチコピーではわかりやすい表現が求められます。「Go to the Future」のようなふわっとしたキャッチコピーは最悪です。キャッチコピーについてはこちらのコラムにも書きました。
カスタマーサクセスが目的であれば、メインビジュアルはイメージ写真ではなく、新商品のバナー画像やイベントのお知らせなどがいいでしょう。ブランディングが目的であれば先入観を打破するようなイメージのほうがいいでしょうし、リクルートが目的であればフレッシュな社員が働く姿がいいでしょう。
このようにデザインは目的によって決めるべきです。なんとなくかっこいいデザインにすると失敗します。
リニューアルして良かったのかわからない
Webサイトのリニューアルをして1年後くらいに経営者から報告を求められて困るということもありがちです。リニューアルしてから1年後、それが成功だったのか失敗だったのか、どう判断すべきでしょうか。経営者からすればリニューアルにかかった費用は投資です。その投資に見合った効果があったかどうかはとても重要なことです。1年経ってから成功か失敗かがわからないというのは、明らかな失敗です。
Webサイトをリニューアルする場合には、ゴールを決めなければいけません。たとえば新規開拓が目的のサイトであれば、リニューアルの問い合わせ数を10件から100件にするとか、カスタマーサクセスなら既存顧客の月間訪問数を1回から3回にするとか、ブランディングであれば滞在時間を3分から5分にするとか、仮でも目標でもなんでもいいのでゴールがあれば、成功か失敗かは明確に判断できます。本来はこのゴールをもとにリニューアルの予算が決められるべきです。
BtoBのWebサイトでコンバージョンとなるリードの獲得については下記コラムをお読みください。
CMSを入れたはずなのに更新できないページが多い
この相談はたくさんあります。WordPressを導入し、制作会社からは更新できると聞いていたのに、完成してみたら更新できるのはニュースだけで、その他のページは制作会社に依頼しなくてはいけない、みたいなケースです。WordPressというのはCMSのデファクトスタンダードですが、制作会社によってその使い方はさまざまです。WordPressを導入したらサイトの更新が簡単にできるようになる、というのは大きな間違いです。WordPressについてはこちらに書きました。
制作会社に依頼する場合には、事前にどこがどのように更新できるようになるのかをしっかりと確認してください。制作会社によってデザインがうまい会社もあれば、マーケティングをサポートしてくれる会社もありますし、検索機能や会員機能などシステムに強い会社もあります。サイトの目的に合った制作会社を選ぶようにしてください。
制作会社が運用のサポートをしてくれない
ひとくちにWebサイト制作会社といっても、制作だけをする会社もあれば、運用もサポートしてくれる会社もあります。作ってもらった会社が運用をサポートしてくれないというのは、その会社が悪いわけではなく、そもそもその会社が運用をしていないということでしょう。Webサイトの目的として運用が必要なのであれば、制作会社を選ぶ時点で運用もサポートしてくれるかどうかを確認する必要があります。運用の内容としてはWeb分析レポート、Web広告、改善提案などがあります。
情報の更新ということであれば、たとえCMSを入れたとしても、内容によっては制作会社に依頼することもあるでしょう。これについても事前にどのくらいの費用がかかるかを確認したほうがいいでしょう。
検索でヒットしない
これもよくある相談です。リニューアルしたけど思ったキーワードでヒットしない。これはある意味で当然です。リニューアルしたからといって急に検索にヒットするわけではありません。重要なのは、どういうキーワードでヒットさせるためのサイトを作ったかです。検索エンジンにヒットさせることをSEOといいますが、サイトをリニューアルするときには、SEOを踏まえたうえで制作をスタートしなければいけません。「サイト制作→SEO」ではなく「SEO→サイト制作」なのです。
これもリニューアルの目的の話と一緒ですが、目的が新規開拓で、キーワードで集客したいのであれば、そのための作りかたがあります。なんとなくリニューアルしてからキーワードのことを考えはじめるのでは遅すぎるのです。このあたりの話はこちらのコラムに書きました。
解約できない
これはちょっといままでの話とは違う話になりますが、制作会社の中には初期費用0円というところがあります。初期は0円で、利用料として月額で数万円がかかるサービスで、たいてい3年や5年くらいは継続が必要です。こういうサービスを否定するわけではないのですが、これまでのインターネットの流れを考えると、3年先がどのようになっているか、誰も予想できないのではないでしょうか。Webサイトというのは時代に合わせて変化させていかなければいけません。
また制作会社によっては、いったん契約すると本当に解約できない場合もあります。実際にあったケースでは、途中解約ができず、ドメインも抑えられてしまっていたため、しかたなくドメインを捨てて、新しいドメインで作り直したというのがあります。これは悪徳業者といえるかもしれませんが、実際にそのような制作会社があるので注意が必要です。
制作会社がなくなってしまった
これもありがちです。Web制作は個人でもできます。クラウドソーシングで探せばコーポレートサイトを5万円で作りますという人も見つかります。いちおう会社でも2人や3人でやっているところもあります。キャンペーン目的のサイトやランディングページであればそういう個人に発注してもいいのですが、長く運用しなければいけないサイトであれば、それなりに続きそうな制作会社に発注したほうがいいでしょう。
おわりに
いろいろと失敗例を挙げましたが、いちばんはやはりサイトの目的が明確になっていないままリニューアルしまうことが失敗の原因となります。しっかりと目的を明確にして、制作会社を選びましょう。
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