ホームページ制作会社の選びかた
「ホームページをリニューアルしたいけど、どういう会社に依頼したらわからない」というWeb担当者は多いでしょう。 Googleで「ホームページ制作会社」を検索するとたくさんの会社がヒットしますし、そこでサービス内容や価格を見てみても、書いてあることはさまざまで、なにを基準に選んでいいのかわからないでしょう。さらに、自分でかんたんに作れそうな無料のサービスもあります。採用サイトなら最短5分で作れるかもしれません。
実際、Webサイト制作に相場というものはありません。たとえば20ページのコーポレートサイトでも、50万円のところもあれば500万円のところもあります。このような価格差が出るのはたんに制作会社のブランド価値や値決めの違いではなく、ほとんどがサービス内容の違いです。しかしWeb担当者からすると、そのサービス内容がわかりにくいために、価格の違いに首を傾げてしまうのです。
A社 | B社 | C社 | |
---|---|---|---|
小規模 | 20万円 | 100万円 | 300万円 |
中規模 | 50万円 | 200万円 | 1,000万円 |
大規模 | 80万円 | 400万円 | 3,000万円 |
ではどのようにホームページ制作会社を選べばいいのか。この記事ではホームページ制作会社を選ぶときに参考となるいくつかの軸を説明します。
Contents
ホームページ制作会社を選ぶときの軸
会社の規模
誤解を恐れずにいえばホームページは誰でも作れます。まったく知識がない人でも「HTMLの書き方」などとググって記事を読めば、どのように作ればいいのかはわかりますし、ちょっとしたホームページであれば1日もあれば完成させることができるでしょう。さらに1ヶ月程度をかけて学び、ホームページ制作しますと自分のサイトを立ち上げればホームページ制作会社のできあがりです。ホームページの制作には特別な設備や資格は不要です。ちょっとした知識とスキルがあればホームページ制作ができるのです。実際、職業訓練校で2、3ヶ月だけ勉強してすぐにクラウドワークスなどに登録して仕事をはじめる人もいます。
では仕事をはじめて間もない人がどんな案件でも対応できるかといえば、やはり難しいでしょう。経験がなければできることも限られますし、トラブルの対応も困難でしょう。納期対応も難しいかもしれません。この他にもいろいろなリスクが考えられます。とはいえ、個人や少人数の事業者に発注してはいけないというわけではありません。重要なのはなにを依頼するかです。ちょっとしたイベントの告知ページや、小さなショップページなど、あまり制作コストをかけられないものであれば、価格優先で選んでもいいしょう。
ある程度ボリュームがあるサイトや、商品検索機能、会員ページ機能などの機能的な要件がある場合、問い合わせやホワイトペーパーなどリード獲得を目的にした戦略設計が必要なときには、10名程度のスタッフがいる会社にお願いしたほうがいいでしょう。もちろん少数精鋭でやっている有能なチームもあるでしょうし、外部ネットワークをフル活用してなんでもこなせる人もいるでしょうが、リスクを考えるとそれなりに人数がいる会社のほうが安心です。
まずは制作会社のWebサイトを見て、社員数、設立年を確認することをおすすめします。もしもそういう情報が掲載されていない場合には、確認してみてください。
サービス内容
ひとくちに「ホームページ制作」といっても、けっこうな幅があります。ホームページ制作会社のサービス内容には「戦略設計」「Webデザイン」「HTMLコーディング」「CMS構築」「ECサイト」「SEO」「サイト運用」「Web広告」「SNS運用」などと書かれていたりします。はたから見ると、それってホームページ制作じゃないの?と思うかもしれませんが、すべてのホームページ制作会社がこれらすべてサービスをやっているわけではありません。
Web担当者とホームページ制作会社とでサービス内容のミスマッチがあると、たとえば以下のようなトラブルが起こりえます。
- ホームページを制作してもらったあと更新をお願いしたら「更新はしていない」と言われた
- 制作してもらったホームページが検索にヒットしないことを伝えると「SEOはしてない」と言われた
- ホームページを制作してもらったあとで広告をお願いしたら「広告はしていない」と言われた
- デザインは良いものになったが更新がしづらく、更新をお願いすると費用がかかってしまう
- 公開直前に「サーバーのことはわからない」と言われて公開が遅れてしまった
- 原稿をリライトしてほしかったが原稿は完全な形で支給してほしいと言われた
制作会社を選ぶときには、サービス内容としてどこまで対応してくれるのかを確認し、お互いに認識のズレがないようにすることが重要です。下のコラムではサイトリニューアルでのよくある失敗について詳しく書きました。
得意な分野
同じサービスを提供していても、得意不得意というのはあります。たとえばデザインは得意でも戦略設計は不得意、システム構築は得意でもデザインは不得意、Web広告は得意でもシステム構築は不得意、などです。もちろん制作会社のWebサイトを見ても「これは不得意です」と書かれていることはないと思いますが、得意なことについては書かれているはずです。たとえばキャッチコピーなどに「デザインで世の中を良くする」と書かれていれば明らかにデザイン系の会社ですし、「成果の出るWebサイトを」と書かれていればコンサル系でしょう。またサービスとしていくつか書かれている項目の順番で判断することもできそうです。いちばん最初に「WordPressによるサイト構築」とあればシステム系といえます。
ここで重要なのはどのようなホームページを作りたいかです。デザインで目をひきたいのか、新規開拓のためのリードを獲得したいのか、採用をしたいのか、顧客満足度を高めたいのか、販売をしたいのか、このようなサイトの目的が明確であれば、制作会社を選びやすくなります。
制作実績
制作会社を選ぶときにいちばん手っ取り早い方法はその制作会社のサイトで制作実績を見ることかもしれません。デザインのクオリティがわかるのはもちろんですが、BtoBのコーポレートサイトが多ければそれが得意な会社だということがわかりますし、ショップやクリニックのサイトが多ければそういう系が得意だということがわかります。業界特有のノウハウもあるので、製造業が多いとか、小売が多いとか、金融が多いとか、自治体や病院が多いとか、大学が多いとか、そういう傾向がわかれば、得意な業界がわかります。また、名の知れた会社の実績があれば、ここの仕事をやっているなら信頼できそうだ、ということも判断できます。
もしも制作会社のサイトに実績が掲載されていなければ、ちょっと注意が必要かもしれません。アピールできるような目立った実績がない、下請けが多いので実績として出せない、広告代理店なので出せない、などが考えられます。たんに面倒くさいだけかもしれませんが、ポリシーとして出していないだけかもしれませんが。
選定方法
面談で選ぶ
いくつかの会社に絞ったうえで面談を行い、制作にたいする考え方、サービス内容や進めかた、実績などを確認しながら、良さそうな会社を選ぶ方法です。採用面接やお見合いのようなイメージです。Webサイト制作は何ヶ月間もかかりますし、その後も考えると長い付き合いになります。発注者と制作会社とが協力して進める必要があるため、面談を重ねることでコミュニケーションしやすいかどうかがわかるのがこの方法のメリットです。この相手とこれからずっと仕事をしたいか、という観点で選ぶのがいいでしょう。
デメリットとしては、営業力がやたらに高い人がいると、実際に制作したものができあがると、思ったのと全然違うということが起こりえるということです。それがないように制作実績はしっかりと確認してください。
相見積もりで選ぶ
複数の会社に仕様書を渡して見積もりを出してもらい、価格で選ぶ方法です。選定する手間だけでいえば、これがもっとも簡単な方法でしょう。ただし制作会社によってサービス内容や考え方が異なるため、出てきた総額だけで比較するのは大変危険です。相見積もりにする場合には、しっかりとした仕様書を作る、できるだけ細かい内訳を出してもらう、内訳の項目を合わせてもらう、イニシャルだけではなくランニングの見積もりも出してもらう、などが必要です。
プロポーザルで選ぶ
提案依頼書(RFP)を渡して企画提案書の提出とプレゼンをしてもらい、その内容で選ぶ方法です。ちなみに提案してもらった内容から「提案」を評価して選ぶことをコンペ、「提案者」を評価して選ぶことをプロポーザルといいます。制作会社の負担が大きいために制作会社からは嫌がられますが、もっとも判断しやすい方法です。制作会社にデザインなどを作ってもらうため、企画提案費として数万円を各社に支払う場合もあります。
デメリットとしては、選定までに時間がかかることがあります。提案依頼書を作成し、オリエンで説明を行い、1ヶ月後くらいに企画提案書を提出してもらい、各社にプレゼンをしてもらい、ようやく選定するので、だいたい2ヶ月くらいはかかります。納期が決まっているのであれば、逆算してスケジュールを考える必要があります。また、制作会社によってはそもそもプロポーザルには参加しない会社もあるので、選択の幅が狭まってしまうこともデメリットでしょう。
おわりに
ホームページは制作会社によってできあがるものがまったく違ってきます。付き合いがあるから、そこしか知らないから、などの理由で選んでしまうと、あとから後悔することになるかもしれません。まずは目的を明確にし、そのうえで適切な会社を選ぶようにしましょう。
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