医療広告ガイドラインに準じた病院Webサイト制作

医療広告ガイドラインとは

医療広告ガイドラインとは厚生労働省が策定し公開しているもので、正式名称は「医業若しくは歯科医業または病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針」といいます。医療は人の生命・身体にかかわるもので、専門性が高く一般の人には内容を判断するのが難しいという利用者保護の観点から、1948年、医療法により「限定的に認められた事項以外は、原則として広告が禁止」され、その指針をまとめたものがこのガイドラインです。詳しくは厚生労働省がドキュメントを公開しているので参照してください。

広告に該当する媒体の具体例

広告の規制対象となる媒体は以下のものです。

  1. チラシ、パンフレット、その他これらに類似する物によるもの(ダイレクトメール、ファクシミリ等によるものを含む。)
  2. ポスター、看板(プラカード及び建物又は電車、自動車等に記載されたものを含む。)、ネオンサイン、アドバルーンその他これらに類似する物によるもの
  3. 新聞紙、雑誌その他の出版物、放送(有線電気通信設備による放送を含む。)、映写又は電光によるもの
  4. 情報処理の用に供する機器によるもの(Eメール、インターネット上の広告等)
  5. 不特定多数の者への説明会、相談会、キャッチセールス等において使用するスライド、ビデオ又は口頭で行われる演述によるもの
引用元:厚生労働省「医療広告ガイドライン」

広告とは見なされないものは以下のものです。

  1. 学術論文、学術発表等
  2. 新聞や雑誌等での記事
  3. 患者等が自ら掲載する体験談、手記等
  4. 院内掲示、院内で配布するパンフレット等
  5. 医療機関の職員募集に関する広告
引用元:厚生労働省「医療広告ガイドライン」

お金を払って掲載してもらういわゆる「広告」は規制対象となり、そうでないものは対象とならないということです。例外的に職員募集については広告であっても規制対象とはなりません。

Webサイトも規制対象に

もともとWebサイトは「広告」ではないので規制の対象ではありませんでした。しかし美容医療に関してトラブルが増加していきたことを受け、2017年、医療法が改正されてWebサイトについても他の広告と同様に規制の対象となりました。しかし、Webサイトが他の広告媒体と同様に広告可能事項が限定されてしまうと、患者が知りたい情報を提供することができなくなってしまうため、一定の要件を満たせば、広告可能事項の限定を解除することもできるようになっています。

ちょっとなに言ってるかわからないと思われたかもしれませんが、実際、非常にわかりにくいことになっています。結局、規制されるの?されないの?と疑問に思うかもしれません。基本的にはWebサイトも規制対象として書いていいことダメなことが具体的に決められています。ただし、一部の事項については例外もある、という認識をしてください。

広告可能事項の限定解除要件

広告可能事項の限定解除が認められる要件は以下の4つです。

  1. 医療に関する適切な選択に資する情報であって患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトその他これに準じる広告であること
  2. 表示される情報の内容について、患者等が容易に照会ができるよう、問い合わせ先を記載することその他の方法により明示すること
  3. 自由診療に係る通常必要とされる治療等の内容、費用等に関する事項について情報を提供すること
  4. 自由診療に係る治療等に係る主なリスク、副作用等に関する事項について情報を提供すること
引用元:厚生労働省「医療広告ガイドライン」

「患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイト」というのはようするにWebサイトです。Webサイト上に問い合わせ先がわかりやすく記載されていれば、限定解除が認められることになります。また自由診療については、治療の内容や費用、リスクや副作用が書かれていればサイトに記載することができます。

注意しなければいけないことは、Web広告については従来どおり広告として規制対象になるということです。Web広告のリンク先については、改正前はWeb広告とリンク先は一体的に取り扱うとされていましたが、改正後にはリンク先のWebサイトは限定解除ができるようになりました。

違反するとどうなるか

厚生労働省では、自治体の調査により違反を発見するだけでなく、Webサイトの利用者が通報できる「医療機関ネットパトロール」を運用しています。違反が発見された場合にはその医療機関の管理者へ「行政指導」「報告命令又は立入検査」「中止命令又は是正命令」などがなされます。是正がされない場合には刑事告発され、6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金が適用されることになります。

違反しているかどうかの相談は医療機関を所管する自治体で窓口が設置されています。

医療広告ガイドラインにて禁止される表現

禁止事項は以下の8つに分類されています。

  • 広告が可能とされていない事項の広告
  • 内容が虚偽にわたる広告(虚偽広告)
  • 他の病院又は診療所と比較して優良である旨の広告(比較優良広告)
  • 誇大な広告(誇大広告)
  • 患者等の主観に基づく、治療等の内容又は効果に関する体験談
  • 治療等の内容又は効果について、患者等を誤認させるおそれがある治療等の前又は後の写真等
  • 公序良俗に反する内容の広告
  • その他(品位を損ねる内容の広告など)
引用元:厚生労働省「医療広告ガイドライン」

以下、8つの分類について、ありがちな表現例を記載します。これらはあくまで例なので、これらの記載がなければいいということではありません。主旨を理解したうえで適切な表現をするようにしましょう。

広告が可能とされていない事項の広告

  • 専門外来(例:アンチエイジング外来、禁煙外来、糖尿病外来)
  • 広告可能な診療科名以外の診療科名(例:神経科、呼吸器科)

医療法では広告可能な診療科名が具体的に決められており、それ以外の診療科名を広告することができません。しかし、これについては限定解除により記載が可能になります。つまりWeb広告には記載できなくても、限定解除要件を満たしていればWebサイトには記載できる、ということです。

内容が虚偽にわたる広告(虚偽広告)

  • 加工された写真の掲載
  • 経歴の詐称
  • 医学的にありえない事項(例:絶対安全な手術です)
  • 根拠のないデータ(例:患者様満足率99%)

ウソの写真や経歴がNGなのはわかりやすいのですが、「絶対安全」のように現実的ではないものや、「患者満足率」のように根拠や調査方法が明記されていないデータは虚偽として扱われるので注意が必要です。

他の病院又は診療所と比較して優良である旨の広告(比較優良広告)

  • 最上級の表現(例:日本一、県内一、地域No.1、最高、最先端)
  • 著名人との関係性強調(例:芸能人の◯◯さんが来院されました)

最上級の表現について、客観的な事実であったとしても表現することができません。たとえば「当院は県内一の医師数を誇ります」というようなものも禁止されます。

誇大な広告(誇大広告)

  • 施設について誤認させる広告(例:◯◯センター)
  • 強調表現(例:ガイドライン遵守)
  • 古い情報(例:医師数◯人)
  • 根拠に乏しい情報(すべてのがんの原因はストレスです)

施設名については、院内で「がん治療センター」という部門名があったとしても、それを広告に記載することはできません。ただし「救命救急センター」「休日夜間急患センター」など、一定の医療を担う医療機関、また地域における中核的な機能や役割を担っていると都道府県等が認める場合はこのかぎりではありません。また、これについては限定解除ができるので、Webサイトでの記載は問題ありません。

強調表現については、特別に強調するほどのものでもないことを目立たせることは誇大広告とみなされます。

古い情報というのは、たとえば医師数30人との記載があったとして、その情報は5年前のもので現在は20人しかいないという場合、誇大広告とみなされます。これについては作為的なものでなくても、Webサイトが更新されておらず古い情報のままでも該当してしまうので注意が必要です。

根拠に乏しい情報について、医学的に証明されていないことをキャッチコピーなどで表現することは禁止されています。最近は「ナッジ理論」というのが注目され、「2人に1人が〜」や「手遅れになるまえに」のような表現も増えていますが、このようなものも誇大広告とみなされる可能性があります。

患者等の主観に基づく、治療等の内容又は効果に関する体験談

  • 患者様の声
  • 体験談

患者様の声や体験談については掲載することができません。限定解除もできませんので、Webサイトではいかなる場合でも禁止されます。口コミサイトからの抜粋でもNGです。SNSで患者が体験談を書くことは規制されませんが、お金を払うステマは禁止されます。

治療等の内容又は効果について、患者等を誤認させるおそれがある治療等の前又は後の写真等

  • ビフォー・アフターの写真やイラスト

手術や治療のビフォー・アフターの写真やイラストはWeb広告では掲載できません。Webサイトであれば限定解除要件を満たし、かつ症例の写真ごとに治療内容や費用、リスク、副作用など詳細な説明を付記すれば、掲載が可能になります。まとめて1箇所に記載するのではなく、写真ごとに記載しなければいけないところに気をつけなければいけません。

公序良俗に反する内容の広告

これはあまりないとは思いますが、わいせつなものや暴力的な画像による表現は禁止されています。

その他(品位を損ねる内容の広告など)

  • キャンペーン(例:いまなら無料、期間限定で◯%オフ)
  • プレゼント(例:ご来院いただいた全員にプレゼント)

品位とはなんぞやと思うところですが、医療機関として「品位を損ねる、あるいはそのおそれがある広告」はNGとのことです。

不適切な表現

以下は禁止事項ではありませんが、表記が適切になされていない場合にはNGとなります。

自由診療における治療の方法

自由診療については、治療に公的医療保険が適用されないことや標準的な費用を記載すれば、Webサイトに掲載することが可能です。

医療従事者の専門性資格

厚生労働大臣が届出を受理した専門性資格については掲載できますが、団体名および団体が認定する専門性の資格名が記載されていない場合は不適切な表現とみなされます。記載する場合には正確に書く必要があります。

  • NG:日本口腔外科学会認定 専門医
  • OK:日本口腔外科学会認定 口腔外科専門医

おわりに

医療広告ガイドラインはわかりにくく、曖昧なところもあるので個別の内容については保健所に問い合わせる必要があります。また時代にあわせて更新されていくものなので、定期的にチェックするようにしましょう。

わたしたちは病院のWebサイトで多くの実績がありますので、リニューアル時にはご相談ください。

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