コロンとセミコロンについて(英文法)
コロンとセミコロンは日本人にはあまり馴染みのない記述記号です。コロンは時間の表記で「10:30」のように使ったり、「投稿日:2022年8月6日(土)」のように使ったりするので、それなりに目にはします。セミコロンはプログラマーであれば嫌ほど目にしますが、そうでなければほとんど見かけることがありません。セミコロンのことをもっと知ってもらうために、英語の文章のなかでのコロンとセミコロンのちがいについて解説します。
コロンとセミコロンの使い分け
完全文と不完全文
まず最初に英語の「完全文」と「不完全文」を理解する必要があります。完全文(Independent Clause)とは英語の5文型(SV、 SVC、 SVO、 SVOO、 SVOC)のいずれかの形式を満たしているもので、不完全文は満たしていないものです。「I love you」は主語(S)+動詞(V)+目的語(O)が揃っているので完全文ですが、「I love」は不完全文です。「love」は他動詞なので目的語が必要なのです。
このちがいを知らなければコロンとセミコロンを使い分けることができません。まず、コロンもセミコロンも前半は完全文でなければならないという基本ルールがあります。さらに、コロンの後半は完全文もしくは不完全、セミコロンの後半は完全文でなければならないというルールもあります。
ただしコロンは時間の表記や定義でも使いますが、そのときにはもちろん完全文ではありません。ここでいうルールは文章のなかで使う場合です。
コロンとセミコロンのルール
コロンもセミコロンも前半は完全分でなければいけない。
- 完全文+コロン+不完全文もしくは完全文
- 完全文+セミコロン+完全文
コロンとセミコロンの用例
コロンの後半は不完全文の場合は多いが、セミコロンの後半は完全文でなければならない。
- I love you: beautiful, kind and funny.(後半は文として完結していない)
- I love you; you don’t love me.(後半だけでも文として成立している)
コロンとセミコロンの使い方
コロン
コロンの機能は「補足」です。前半の文について後半が補足する形になります。
例示(たとえば)
最初の文章の内容について、いくつかの例示をする使い方です。
I like to listen to different type of music: rock, jazz and classic.
(わたしはいろんな音楽を聴くのが好きです、たとえばロックとかジャズとかクラシックとか)
説明(すなわち、つまり)
There are only two kinds of men in the world: honest or dishonest.
(この世には2種類の男しかいない、すなわち正直な男と不誠実な男だ)
引用
He thought about it for a while and said: “The way to get started is to quit talking and begin doing.”
(彼はしばらく考えてこう言った「ものごとをスタートさせる方法は話をやめて実行することだ」)
セミコロン
セミコロンの機能は「接続」です。関係のある2つの文を接続する形になります。関係のない分を接続することはできません。
接続詞として使う
I saw her; she was walking with her boyfriend.
(私は彼女を見かけた、彼女はボーイフレンドと歩いていた)
接続副詞と一緒に使う
I trust you: however, we need to talk.
(私は君を信用しているが、私たちは話し合う必要がある)
おわりに
このWebサイトのトップページには英語で「We think; therefore we are.」と書いています。これは哲学者デカルトが『方法序説』に書いた有名な言葉「我思う故に我あり(I think; therefore I am.)」をもじったものです。「therefore」という接続副詞で前後の文章をつないでいるのでセミコロンを使います。