大学WebサイトのKPIを考える
KPIとKGI
KPIとKGIはビジネスシーンではおなじみの用語ですが、どちらも目標達成のための指標です。ビジネスにかぎりませんが、なにかが成功したかどうかを判断するためには、明確なゴールが必要です。Webサイトの運用でもゴールを決めることは重要です。ただ、大学のWebサイトではゴールの設定をしにくく、数値での管理ができないという課題があります。
KGIとは
KGIとはKey Goal Indicatorを略したもので、日本語では「重要目標達成指標」と訳されます。ようするにゴール目標です。この「ゴール」はWebマーケティングでは「コンバージョン」と呼ばれます。たとえばサッカーであれば点を入れるのがコンバージョンで、今日は3点とるぞ!というのがKGIです。
Webサイトにおけるゴール(コンバージョン)は業種やサイトの役割によって異なります。販売を目的としたECサイトであれば購入、リアル店舗への来店を目的としたO2Oサイトであれば予約や申し込みがゴールとなります。BtoBのコーポレートサイトでは、本当のゴールは成約になりますが、Webサイトでは完結しないので、この場合にはリード(見込み客)の獲得をゴールとします。
KPIとは
KPIとはKey Performance Indicatorsを略したもので、日本語では「重要業績評価指標」と訳されます。ようするに中間目標です。たとえばサッカーであればシュート数などです。ポイントとしてはこの中間目標とゴール目標とが結びついていなければいけないということです。過去の試合結果から10本のシュートを打てば1本ゴールが入るというデータが出ているとします。であれば、KGIである3ゴールを達成するためには、30本のシュートを打てばいいということになります。
Webサイトでは、ECサイトの目標販売数がKGIであれば、KPIはたとえばアクセス数、転換率、平均客単価になります。コーポレートサイトの場合は「問い合わせ」や「資料請求」がゴールであれば、その1つまえの商品ページの訪問数や、オーガニック検索からの流入数になります。
KGIを狙うのではなくKPIを狙う
ボウリングの「スパット」をご存知でしょうか。レーンでボールを投げる位置から5メートルほど先に▲のマークが7つ並んでいるものです。ボウリングがうまい人はピンではなく、このスパットを見てボールを投げます。遠くの目標を狙うのではなく、近くの目標を狙う。これがまさにKPIの考え方です。サッカーでいえばやみくもにゴールを狙うのではなく、シュート数を上げることに意識を向けるわけです。
大学WebサイトのKPI
大学のWebサイトではゴールの設定がしにくく、KPIも何を指標とすればいいのかわからないという課題があります。とはいえ数値目標は必要だろうということで、Googleアナリティクスを見てセッション数や直帰率などをウォッチしているWeb担当者も多いでしょう。しかしアクセス数はKPIにはなりません。受験者数のアップや企業からの共同研究の申し込みなどをゴールとするならば、アクセス数はゴールまでの距離が遠すぎて参考にはならないからです。
そもそもアクセス数の増減にはさまざまな要因があります。先月と比べて増えたとか、昨年と比べて減ったとかがわかったとしても、だからどうした?という感じでしょう。また、KPIの目標を達成するために施策を行うとしても、サイト全体のアクセス数をアップさせる施策はなかなかハードです。
大学WebサイトのKPIの例
KPIで重要なのは、最終的なゴールに結びついていて、狙いやすい(改善のための施策ができる)ということです。参考として考えられるKPIをいくつか挙げてみます。Googleアナリティクスですぐに取得できるデータもありますが、ちょっと手間がかかるものや、検索順位など他のツールを使う必要があるものもあります。
受験生獲得のためのKPI
- オーガニック検索からの大学名を除く研究キーワードでの流入数
- 受験生サイトまたは入試情報ページの訪問数
- オープンキャンパスページの訪問数
- 受験生サイト内の大学の特色などが記載されたページの訪問数
- 狙ったキーワードの検索順位
共同研究獲得のためのKPI
- オーガニック検索からの大学名を除く研究キーワードでの流入数
- オーガニック検索からの大学名を除く「共同研究」「産学連携」での流入数
- 共同研究または産学連携ページの訪問数
おわりに
大学のWebサイトでは数値目標の設定が難しいことについて書きました。とはいえサイトをリニューアルするときなどには、現状の把握とゴールの設定は欠かせません。GoogleアナリティクスもGA4に変わるので、これを機にKPIの見直しをしてはいかがでしょうか。
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