この病院のWebサイトがすごい(赤十字病院編)
全国にある赤十字病院のWebサイトを見てみて、個人的にすごいと思ったサイトを5つ紹介します。デザインがちゃんとしていて、メッセージ性があって、ナビゲーションもわかりやすいサイトを選びました。100近くあるサイトをすべて見て思ったのは、多くのサイトが思ったよりしっかり作られているということです。世の中の病院のWebサイトはけっこうひどいものも多いのですが、さすが「赤十字」ということなのか、今回はムリヤリ5つに絞りましたが、途中段階では20くらいにしか絞れなくて、かなり苦労しました。
判断基準として、ちょっと個人的なものにはなるのですが、ナビゲーションに英語を使っているサイトはそれだけで外しました。「診療科」の下に「Department」とか書いてあるものです。病院のWebサイトというのはそれこそ老若男女が利用するものです。「Department」なんて表記はただデザイナーがかっこつけて併記しただけのもので、ユーザー的な使いやすさを考えたものではありません。もちろんこういう表現が向いているサイトもありますが、病院には不向きです。なので今回はそれを最低条件として選びました。
ちなみに私は福井赤十字病院のWebサイトリニューアル業務を行いました。自分が手がけたこともあり今回は対象外としましたが、そうでなければピックアップしたいサイトだと自負しています。メインビジュアルやナビゲーション、ページ構成など、いろいろと考えて制作させていただきました。
Contents
この病院のWebサイトがすごかった
デザイン的にとても優れたサイトです。同じ制作者として参考にしたいところがたくさんあります。見出しやボタンのあしらいなど、デザインはやっぱり細部のこだわりだということがよくわかります。美しさだけではなく、ナビゲーションもよく考えられています。いちばん目立つヘッダーには「救急外来受診」「お知らせ」「外来担当医表」「電話番号」「交通アクセス」が並んでいますが、病院のWebサイトでよく見られるのは結局これらのページなので、ユーザーがこのサイトで迷うことはまずないでしょう。ただグローバルメニューの並び順はこれでいいのかなという気はします。
ページの中身もデザイン的には感心するところばかりです。「ご来院の方へ」の中の「一般外来受診のご案内」のページなんて100点でしょう。そっくりこのままマネしたいです。気になるのは診療科のページと医師のページと外来担当医表のページが別々になっているところでしょうか。ユーザーの行動としては、医師を一覧で見るよりも、自分が知りたい診療科の先生と内容と担当医表を見ると思いますし、このあたりは改善ができそうです。
あと採用サイトもすばらしいので見てほしいです。メニューの文字が部分的に淡い色になっていて見にくかったり、PCで見ると左のメニューがコンテンツにかぶってて見にくかったりはしますが、コンテンツの作り方と見せ方はぐっときます。
メインビジュアルのキャッチコピー「世界一強く、そして優しい病院」に胸が熱くなります。日本赤十字社のスローガンで「人間を救うのは、人間だ。」というのがあって、それぞれの病院でもそれを書いているところが多いのですが、石巻赤十字病院では独自のメッセージを打ち出しています。
トップページをスクロールしていくと「ForVisit」というのがあって、ここが英語なのは気に入らないのですが、受付時間や休診日、面会時間、それからよく見られるページが並んでいて、わかりやすいと感じました。さらにスクロールすると病院の紹介や取り組みとして「がん診療」「救急医療」「高度医療」「災害医療」「地域医療」「教育・安全」という6項目があって、トップページを見るだけでここがどのような病院かわかるようになっているのがとてもいいです。
ナビゲーションは上と右に固定されているもので、いっけん使いにくそうですが、使ってみるとストレスなく移動できました。各ページもシンプルにまとめられていて、わかりやすかったです。
採用情報を見ようと思ったら「医療関係者・リクルートサイト」の中に入っていて、あまりこういう構成は見たことがないのですが、わかりやすいのでしょうか。入札公告(メニューでは「広告」となっていて誤植です)もこの中にあって、たしかに患者以外ということでは同じかもしれませんが、ターゲットがけっこう異なるので分けたほうがわかりやすい気がします。
あとこのサイトはSSLに対応していないので、これはすぐに対応したほうがいいと思います。お問い合わせフォームもhttpだったので、すぐに対応が難しいようならフォームはやめて電話とメールだけにしたほうがいいです。
デザイン的にシンプルでわかりやすく、有能なデザイナーの仕事だとわかります。病院のWebサイトどうしてもごちゃごちゃしてしまうのですが、このくらいのすっきりした感じがいいですよね。PCで見るとボタンをホバーしたときのギミックがおしゃれで、思わずCSSを確認してしまいました(よくわかりませんでしたが)。デザイン的にもコーディング的にもほんとによくできたサイトです。ただ、シンプルに徹することで診療時間やアクセス情報などがわかりにくくなってしまっているので、そこは改善の余地があると思います。
あとユニークなのはトップページにある「気になる部位から診療科を探そう」です。部位を選択すると症状別で診療科を教えてくれます。シンプルなものですけど、こういうのがあるといいですね。
全体的なページ構成もわかりやすいと思うのですが、診療科の詳細とスタッフ、外来日程表が別ページなのはちょっと使いにくいのではないでしょうか。
採用については困っていないのか、研修医募集も採用情報もあまりコンテンツがありませんでした。「病院WEB説明会」というのをやっていて、へーWEBで説明会をやっているのかと驚いたのですが、それも「応募者多数により受付を終了いたしました」と書いてありました。昨今はどこの病院も採用に困っている印象があるので、すごいですね。
メインビジュアルが目を引きますが、写真はちょっとやりすぎなような。男女が向き合って手をかざしている写真とか、ちょっとポッとしちゃいます。スクロールしていくと病院の紹介として「岐阜市北部に位置する地域医療支援病院」というのがあって、対象者別メニューのボタンがあります。こういうちょっとした工夫があるかないかで良いサイトと悪いサイトが分かれるのではないでしょうか。
すごくもったいないと思ったのは、トップページはページの下までいくと「外来受付時間」「面会時間」「休診日」とお問い合わせの情報があるのですが、これがトップページにしかないことです。サイトをあちこち見ましたが、この情報はトップページの下にしかないのです。もしも電話で面会時間がホームページのどこに書いてあるか訊かれたら、トップページのいちばん下にあります、と答えるのでしょうか。この情報はヘッダーにもあったほうがいいと思いますが、フッターにだけ記載するのであれば、全ページに入れたほうがいいと思います。
PCで見るとトップページのファーストビューで必要な情報へのリンクは網羅してある感じで、ユーザーを迷わせない工夫がされています。スクロールしていくとピックアップのコンテンツがあり、当院の特長として「地域医療への貢献」「災害医療」「救命医療」「医療人材の育成」の4項目が並んでいます。どういう病院なのかトップページだけでなんとなくわかるのはとてもいいと感じました。
特徴的なのはブログをたくさんやっていて、「臨床研修ブログ」「看護部ブログ」「しずおか日赤メールマガジン」「小児科ブログ」「助産師ブログ」「しずおか日赤訪問看護ステーションブログ」「栄養課ブログ」の7つがありました。だいたいどれも定期的に更新されていて、このようなみんなでWebサイトを更新していこうという体制がとれているのはすごいと思いました。
あとびっくりしたのは「お見舞いメール」というのがあって、「入院されている患者さんに、写真やイラスト付きの温かいメッセージを送れます」というフォームがあります。これすごいですよね。どのくらい使われているのかはわかりませんが、こういうことをやっている病院は他にもあるんですかね。
採用サイトはかなり作り込まれているので、他の病院でも参考になるのではないでしょうか。
おわりに
全国の赤十字病院てたくさんあるんですね。北陸しか知らなかったので都道府県に1つずつかと思っていたら、北海道なんて10もあって驚きました。いっぽうで1つもない県もあるんですね。赤十字病院はロゴや色など決まっているのでWebサイトのデザインはどうしても似てしまいがちなのですが、それでもそれぞれが工夫されていて面白かったです。ここはあそこを参考にしたのかな?というのもありました。それぞれが切磋琢磨しながら全体的に見やすくて使いやすいWebサイトになっていくといいですね。私たちもお手伝いできることがあると思いますので、お気軽にご相談ください。日本全国どこでも対応します。
全国の赤十字病院のWebサイト一覧
北海道・東北
北海道
青森県
岩手県
宮城県
秋田県
山形県
なし
福島県
関東
茨城県
栃木県
群馬県
埼玉県
千葉県
東京都
神奈川県
中部
新潟県
富山県
石川県
福井県
山梨県
長野県
岐阜県
静岡県
愛知県
近畿
三重県
滋賀県
京都府
大阪府
兵庫県
奈良県
なし
和歌山県
中国・四国
鳥取県
島根県
岡山県
広島県
山口県
徳島県
香川県
愛媛県
高知県
九州・沖縄
福岡県
佐賀県
長崎県
熊本県
大分県
宮崎県
なし
鹿児島県
沖縄県
関連ページ
詳しくは関連ページをご覧ください。